カテゴリ: 憑依
アグレッション・ソーマ(2)
アグレッション・ソーマ(1)
1.初陣
椋鳥玲は魔法使いである。
およそあらゆる神秘、あらゆる奇跡が否定され、伝説の中に押し込められる近代において、御伽噺と現実の隙間をすり抜けるように生きる執行者。火を生み、水を操り、風に乗る秘蹟の使い手だ。
「聞いてない! 聞いてない! こんなの聞いていない!」
彼女は今、逃げていた。
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侵された絆
1.
「最近の亜香里、おかしいと思わない?」
パフェの天井に鎮座するクリームをつつきながら、西園紅緒はいかにも深刻ぶってそう言った。誰にも言えない相談事がある――という神妙な前置きに少なからず緊張していた千景としては、なんだそりゃ、と言うしかない。
「おかしいって、何が」
「何。何って、なにって……全部だよ、全部おかしい」
「なんだそりゃ、まるでわからん」
あきれ顔でカップを傾ける。酸味強めのブレンドコーヒーが喉をすべりおりて、千景は緊張感がほどけていくのを実感した。何事もないのならそれが一番ではあるのだ。
あきれ顔でカップを傾ける。酸味強めのブレンドコーヒーが喉をすべりおりて、千景は緊張感がほどけていくのを実感した。何事もないのならそれが一番ではあるのだ。
「おかしいよ、なんでわからないの?」
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【JC】【雑談】まったり雑談します
動画投稿サイトがインターネット上の一ジャンルとして確立してから、それなりの時間が経った。受け手と送り手の垣根がなくなり、誰もが『作り手』になれる時代――しかし、そんな中でも受け取ることしかできないやつはいるし、作り手たろうとしてうまくいかない人間も、もちろんいる。
新垣圭太もそういう人間のひとりだった。
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