ゼンマイ式倉庫

フカミオトハが適当にいろいろ置いたり喋ったりするブログです。 リンクフリーです。あまりそういうものはないかもですが一応R18。

カテゴリ: 皮

(←前編)

 移動する地獄。
 かつて、篠山園子は電車をそう表現したことがある。肉付きが良く、適度に引き締まり、なにより巨乳という、男好きする体型の彼女は、日ごろから痴漢の被害に悩まされていた。彼女は痴漢を心底憎んでいたし、男に恐怖していた。
 ――そのはずだった。
「さあ、今日も楽しもう」
 その日、園子はいつも通りの格好でホームに立っていた。この三か月、彼女はほとんど毎日そこにいる。服装はまちまちだが、その印象は常にひとつだ。
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 篠山園子が女性専用車両を使うのは、純粋に痴漢に遭うのが嫌だからだ。
 よくある自意識過剰や、通勤時に激空きだからとかいう配慮の根本を履き違えた道理知らずとは違う。なにせ園子は、五日あれば三日は痴漢に遭うという被虐体質である。痴漢「かもしれない」まで含めれれば、五日のうち五日間は被害に遭う。
 誰に話しても、しょうがないよねと言われてしまう。そんなバカな話があるものか、痴漢は犯罪だ、私は被害者だと訴えてみても、そのたびに激しく揺れる冗談みたいなサイズの胸を示されてしまえば、園子も黙らざるを得ない。
「はぁ……」
 ため息は車両の揺れに呑み込まれて消えていく。ガタンゴトン。規則的な揺れに従って、園子の大きすぎる胸もたゆんたゆんと揺れていた。
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